メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調≪イタリア≫


メンデルスゾーン(1809-1847)は、有名な哲学者の祖父、堅実な銀行員の父をもち、今日に名を残す作曲家のなかでは珍しく裕福な家庭に生まれました。ユダヤ人の家系だったため迫害も強かったそうですが、時にモーツァルトを超えるとまでもてはやされた“神童”の才能は生涯衰えることはなく、ドイツの楽壇に甚大な影響力を持ち続けました。

 

彼は5曲の交響曲を残していますが、現在知られている番号(出版順)と完成の順序は大きく食い違っており、完成順に並べると第1番(15歳)⇒第5番(21歳)⇒第4番(24歳)⇒第2番(31歳)⇒第3番(33歳)となります。ちょうど真ん中の作品にあたる≪イタリア≫は、1830~1831年にかけてのイタリア旅行中に着想したためこのように呼ばれています。第四楽章にサルタレッロというイタリア舞曲が取り入れられていることを除けばイタリアの音楽素材との具体的な連関は認められないのですが、第一楽章の主題に代表されるような、明るく、優美な曲風が、イタリアという国のもつイメージとマッチしているように思います。

 

さて、実はメンデルスゾーンは“改訂魔”としても知られます。初演後も何度も改訂を重ね、納得するまで出版を許可しなかったそうで、それが前述のような「出版順と完成順の相違」にも繋がっています。なかでもこの≪イタリア≫を含む4~5番に関しては生涯出版を許さなかったそうで、今日知られている≪イタリア≫は彼の死後“初稿”をもとにして出版されたものと言われています。

 

確かに演奏難度は高いものの、非常に完成度が高い作品だと思っているのですが、天才の頭の中にはもっと素晴らしいものがあったのかもしれないと考えるとわくわくしてしまいます。難しいことは抜きにして、楽しい想像を膨ませていただけるような演奏にできればと思います。

 

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